指定難病の要件について

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oyaji

こんにちは!

認知症サポーターの昭和おやじです。

 

さて、今回は前にお話しした難病の定義を詳しく説明しますね。
まずは難病の定義から。

難病の定義
発病の機構が明らかでなく
治療方法が確立していない
希少な疾病であって
長期の療養を必要とするもの

患者数等による限定は行わず、他の施策体系が樹立されていない疾病を幅広く対象とし、
調査研究・患者支援を推進
例:悪性腫瘍は、がん対策基本法において体系的な施策の対象となっている

指定難病
難病のうち、以下の要件の全てを満たすものを、
患者の置かれている状況からみて
良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いものとして、
厚生科学審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定
患者数が本邦において一定の人数(注)に達しないこと
客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していること

「発病の機構が明らかでない」ことについて
以下のように整理する。
① 原因が不明または病態が未解明な疾病が該当するものとする。
② 原因遺伝子などが判明している場合であっても病態の解明が不十分な場合は、①に
該当するものとする。
③ 外傷や薬剤の作用など、特定の外的要因によって疾病が発症することが明確であり、
当該要因を回避・予防することにより発症させないことが可能な場合は①に該当しな
いものとする。
④ ウイルス等の感染が原因となって発症する疾病については、原則として①に該当し
ないものとする。ただし、ウイルス等の感染が契機となって発症するものであって、一
般的に知られた感染症状と異なる発症形態を示し、症状が出現する機序が未解明
なものなどについては、個別に検討を行うものとする。
⑤ 何らかの疾病(原疾患)によって引き起こされることが明らかな二次性の疾病は、原
則として①に該当しないものとして、原疾患によってそれぞれ判断を行うものとする。

補足1「他の施策体系が樹立していない」ことについて
以下のように整理する。
① 難病の要件全体に含められている基本的な考え方は、他の施策体系が樹立してい
ない疾病を広く対象とするものとされている。
② 「他の施策体系が樹立している疾病」とは、厚生労働省において難病法以外の法律
等を元に調査研究等の施策が講じられている疾病で、がんや精神疾患、感染症、ア
レルギー疾患などがこれにあたり、難病法にいう難病として想定していない。
③ ただし、横断的に疾病の症状や病態の一部に着目した施策が体系的に講じられて
いたとしても、疾病を単位とした施策が講じられていない場合は、他の施策体系が樹
立しているものとして一律には取り扱わず、個別に検討する。(例えば、小児慢性疾
病の対象疾病は小児期に限って支援を行っているという観点から、他の施策体系が
樹立しているものとして一律には取り扱わず、個別に検討する。 )

補足2 がんについて
○ がんについては、「がん対策基本法」及び「がん登録等の推進に関する法律」(平成28年1月1日
施行予定)を中心に、難病対策とは別の施策体系が講じられている。
○ がんの定義は、学会等の統一された見解はないが、「がん登録等の推進に関する法律」第2条
第1項において、「悪性新生物その他の政令で定める疾病」とされており、厚生科学審議会がん登
録部会において、以下の案で承認されたところ。
(1)法第2条関係(がんの定義)
「がん」の定義として、次に掲げるものを規定すること。
・悪性新生物及び上皮内がん(ただし、以下に掲げるものを除く。)
・髄膜、脳、脊髄、脳神経及び中枢神経系のその他の部位に発生した腫瘍
・消化管間質腫瘍
・一部の卵巣腫瘍

○ このため、ICD10で悪性新生物に位置付けられている疾病など、がんに含まれる可能性のある疾
病については、 「がん登録等の推進に関する法律」に付随する政省令の策定状況等を踏まえ、指
定難病検討委員会における検討を行う。
○ ただし、複数の疾病が併存して発生する症候群についてはがんを合併するものであっても、がん
によらない他の症状が指定難病の要件を満たすような場合には、その症候群について指定難病と
して取り扱う。

補足3 精神疾患について
○ 精神疾患については、体系的な施策として障害者総合支援法における精神通院医療
の制度を実施しており、その対象範囲となる疾病はICD10においてFでコードされている
疾病及びG40でコードされている疾病(てんかん)とされている。
○ これを踏まえ、障害者総合支援法における精神通院医療の対象となる疾病は、基本
的に指定難病の要件を満たさないものとする。
○ ただし、複数の疾病が併存して発生する症候群については、精神症状やてんかん症
状を合併するものであっても、精神症状やてんかん症状によらない他の症状が指定難
病の要件を満たすような場合には、その症候群について指定難病として取り扱うこととす
る。

「治療方法が確立していない」ことについて
以下のいずれかの場合に該当するものを対象とする。
① 治療方法が全くない。
② 対症療法や症状の進行を遅らせる治療方法はあるが、根治のための治療方法
はない。

③ 一部の患者で寛解状態を得られることはあるが、継続的な治療が必要。
○ 治療を終了することが可能となる標準的な治療方法が存在する場合には、該当し
ないものとするが、臓器移植を含む移植医療については、機会が限定的であること
から現時点では完治することが可能な治療方法には含めないこととする。

「長期の療養を必要とする」ことについて
以下のように整理する。
① 疾病に起因する症状が長期にわたって継続する場合であり、基本的には発症し
てから治癒することなく生涯にわたり症状が持続もしくは潜在する場合を該当す
るものとする。

② ある一定の期間のみ症状が出現し、その期間が終了した後は症状が出現しない
ようなもの(急性疾患等)は該当しないものとする。

③ 症状が総じて療養を必要としない程度にとどまり、生活面への支障が生じない疾
患については、該当しないものとする。

致死的な合併症(心筋梗塞等)を発症するリスクが高い疾病について
症状が総じて療養を必要としない程度にとどまり、生活面への支障が生じない疾患
については、致死的な合併症を発症するリスクがある場合であっても、基本的に「長期
の療養を必要とする」 という要件に該当しないものとする。
○ しかしながら、遺伝性脂質代謝異常症のように、心筋梗塞等の致死的な合併症を発
症するリスクが著しく高く、そのリスクを軽減するためにアフェレーシス治療等の侵襲性
の高い治療を頻回かつ継続的に必要としている疾患がある。
○ 従って、診断時点では必ずしも日常生活に支障のある症状を認めないが、致死的な
合併症を発症するリスクが高い疾病については、
① 致死的な合併症を発症するリスクが若年で通常より著しく高いこと
②致死的な合併症を発症するリスクを軽減するための治療として、侵襲性の高い治療
(例:アフェレーシス治療)を頻回かつ継続的に必要とすること
を満たす場合は「長期の療養を必要とする」 という要件に該当するものとする。

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